昼のオフィス街の大人のマナー

多くの社会人にとって、昼ごはんというのは数少ない楽しみの一つになっているようですね。
そうすると自然、昼ごはんのマナーとでもいうものができてくるわけです。
今回はラーメンのお作法をお届けしましょうか。


ラーメン屋は、常に自分との戦いの場であります。
店に入り注文が済むと、関心はもっぱら自分の注文したものがいつ来るかということにのみ注がれます。
和やかに最近のニュースなどの会話などしつつも、目は常に店員を追いかけているはずです。


しかしながら、たいていの場合、連れと自分の頼んだものとの時間差ができ、気まずい空気が流れることになります。
こういうときは、「いやいや、のびてしまうからお先にどうぞ」などといってコップの水を一口飲みつつ、急に店内のメニューに心奪われたかのように凝視し、「別にそんなに急いでないんだかんね」といわんばかりの態度をとるのが大人のマナーとして好ましいでしょう。
決して「確かあいつのほうが後に頼んだよな」などという態度はちらとも見せないように。


しばらくすると、ようやくこちらにどんぶりが運ばれてきます。でもここで気を許してはいけません。思わず少しほっとした表情をして割り箸に手を伸ばしかけると、8割の確立で当のラーメンは隣のテーブルに運ばれていくことになります。
私の忠告を忘れていた場合、この手はどうすればよいか。スマートな大人はそのまま何事もなかったかのように「お客様アンケート」なんかに手を伸ばして熱心に読み始めてみるのがよいでしょう。これに興味があったんだかんね、私は常にお客様サービスに気を留めてるんだからね、という社会派を気取ってみます。


さて、無事あなたの前にラーメンが届きました。
おっと忘れないでください、ここにひとつの格言があります。
「遅れてきたラーメンは熱い」
あわてるとあなたはここで6割の確立で舌をやけどします。
温度管理に十分気をつけたら、あとは一心不乱にすするだけです。
ラーメンを食べている人は、おおむね無言ですから。