ほら、あの、

なかなか来ないエレべーターってありますよね。
設計した人はいったいどういうアルゴリズムを考えたんだ、ってやつです。
 
2台のエレベーターが並んでて、
3階から下行きに乗ろうとボタンを押すでしょ。
6階、5階…と下りてきたから「よしよし、うい奴め」とか思ってたら
4階で手のひらを返したように上行きになっちゃうの。
それを見て隣のエレベーターが慌てて7階あたりから下りてくるのね。
 
連携が取れてない。
 
普段からお隣に住んでいるのにエレベーター同士の意思の疎通がはかれていない。
私としてはお隣と言わず向こう三軒両隣仲良くやって欲しいわけですよ。
でも彼は4階から上に行ってしまった。
それならそうと先に言ってくれれば、階段を歩いていけば早かったのにと悔やんでしまうのですよ。
 
4階で引き返したのを確認してすぐに階段に向かえばよかったものを、
少し躊躇したもんだから7階から下りてくるエレべーターに気付いてしまう。
このエレべーターの動きがいじましい。
先ほどの引き返したエレべーターがこまっしゃくれた大学2年の男子学生だとしたら、
このエレべーターはその子を小さい頃から知っている近所のおばあちゃんみたいなものですね。
「ごめんなさいねぇ、本当は悪い子ではないんやけどねぇ…」と、まるで自分が悪いことをしたみたいに慌ててやってくる。
この一途さを見てしまうと、「あぁ、私はこの人の好意を無駄にして階段を選ぼうとしてしまった、なんて世知辛い人間なんだ」と自らを反省してしまうのですよ。
 
でもおばあちゃんは歩みが遅い。
ゆっくりと下りてくる。
感激方面に進路を向けていた心がイライラ方面にハンドルを切りかけた頃、おばあちゃんエレベーターが息を切らせて3階に着くわけですよ。
やれやっと来たと思って乗り込もうとすると、横から今し方来た人達が「ちょうどエレベーターが来るなんて私達は運がいい」的な笑顔を浮かべて乗り込むのですよ。
 
なんかね、私のこれまでの心の葛藤はどうしてくれるんだと。
私の待ち時間とおばあちゃんの心に敬意を表して敬礼でもしてから乗るべきではないかと。
そういう視線を横目で送りながらも、「開」のボタンを押して彼らが乗り込むのを手伝ってしまうのですよ。
 
私って小心者ですかね?皆さんお久しぶりです。Master bacchusです。