生物は

その遺伝的情報により既に、他者と競争することが刻み込まれているに違いない。
「競争社会」などという言葉があるが決して今に始まったことではないのだ。


例えばの話だ。


あなたが地下1階のエレベーターホールにいて、これから20階まで上るところだとしよう。
エレベーターホールは比較的混んでいて、エレベーターはなかなか来ない。
こんなとき、あなたの目の前のエレベーターと、それに対面するエレベーターが同時に到着したとする。
あなたはきっとこう感じるはずだ。


さぁ、レースの始まりだ。


あなたはエレベーターに乗り込み対面のエレベーターをにらむ。
よし、あっちは乗員が乗り込むのに手間取っているぞ。こちらが先行スタートだ。
ドアが閉まり、持ち上がり始めた…と思ったとたんに止まる。ガッデム!1階から乗り込もうなんて太ぇ野郎はどこのどいつだ!?こっちはもう満員なんだよ!と小刻みに「閉」ボタンを16連射しながら対面を見るとジーザス!1階を通り過ぎて既に3階じゃないか。
このエレベーターは高層階行きだから、ここから先の中層階は一気に飛ばしていくぞ、しっかり捕まれ!こっちの止まる階は、ちっ、17と19もか、間に合うか!?
…チーン。
17階の扉が開く。さぁ、こんな階で降りようというのはどこの坊やだ?さっさと降りやがれ…ん?HA-HA!見ろ、やつら中層階への乗り換え階で止まってやがったな。今頃16階に着いたみたいだぜ!
よし、あとは19階で降りる嬢ちゃんが全力ダッシュさえすれば!
…チーン。
やつらもう21階に着いてるよママンorz


※この物語はフィクションです。