春のうららの
お姉さんから逃げちゃったあとぼんやりと歩いていたら、
変な祭壇の前に着いちゃった。
赤い階段に人形とか飾りとかが乗ってるやつです。
ちょっと疲れたから、一番上の空いてるところで休ませてもらおうっと。
「…レを…」
ん?
「ヒ…レが…しい」
だれ?
「さびしい…。みんな…。」
「あ…びに…。…ラレがあれば…」
「かゆ…うま…」
!
いつのまにか寝ちゃってたみたい。
それにしてもへンな夢だったな。
…ラレ?ラレってなんだろう。
ま、いっか。
ぶんぶんと頭を振って、眠いのを吹き飛ばして、
さっきもらったヒナアラレをおやつにしようとしたんだ。
…な、なんか視線を感じるなぁ。
!
祭壇の人形がこっちを見てる!
ほ、欲しいの?これ?
コクコクと肯く人形達。
・
・
・
ぽむっ。
カラクリ人形だ!
お父さんが前に話してくれたことがあります。
アマツにはとてもよくできた人形があって、
お茶を運んでくれたり弓を引いたりするんだって。
へ〜、僕、初めて見たよ!
せっかくお姉さんにもらったヒナアラレだけど、
珍しいもの見られたからこのカラクリにわけてあげようっと。
がちゃん!
ヒナアラレをあげたら、階段の下から何か出てきました。
なんだろコレ?
びろんと広げてみたら、どうやら服みたいです。
…くれるの?(コクコク)
…僕に?(コクコク)
ん〜。
おもしろいカラクリだっ!
結局、調子に乗ってお姉さんからもらったヒナアラレを全部あげちゃった。
でも服とかどくろマークのビンとか、いろいろもらっちゃったよ。
…小石とかあげても出てくるかな?
試してみようと小石を入れかけたら、
突然大声で誰かに怒られちゃったから、びっくりして石を落としちゃった。
そしたらその人、すっごい勢いで僕を突き飛ばしたんだよ!
しかもその人、僕が起きあがったらもういなくなってるんだ。
ちょっと試してみようとしただけなのにひどいと思わない?
でもなんかあの声、どこかで聞いたことあるような気がするんだよね…?